チーバカには大変仲のいい一つ上の姉がいる。
どれほど仲がいいか?

中学入学後、最初の朝礼。
校長がある作文を読んで、「この子は何が言いたかったんだろう?」と問う。

毎朝当番でトイレの掃除をしている少女。
朝の寒さ、汚れた便器…
でも、これは自分の仕事と掃除に励む。
そんな話。

校長の「どうして皆、顔を伏せるのかな?」との挑発に、
チーバカ、うっかり乗ってしまう。
「はい、君!」

簡単な国語の問題である。
正解は『これが私の仕事だ』という件(くだり)である。
つまり、「これが自分の与えられた仕事なので、辛いけれど頑張っている」と。
ピンポ〜ン!

と、思いきや、
どうやら校長の意にそぐわぬ解答だったらしく、
なんのコメントもなく、スルーされてしまった!
ヲイ!正解にしろ不正解にしろ、フォローコメントの場面だろっ!

結局、次の女子生徒のわけのわからないグダグダ解答を、無理やり正解に見立てて、
「そうだね!この子は『自分の仕事が辛い』と言いたかったんだねっ!」
と、自説に持っていってしまった。。。
オイ、オイ、『辛い』じゃなくて『頑張っている』ってだろ。
ったく、困ったじじいだ…。


朝礼の事などすっかり忘れて自宅でゴロゴロしていると、
姉が帰宅するなり、チーバカに駆け寄る。
「オマエは間違ってない!」
「???」
「私もオマエと同じ答えだったし、クラスのみんなに聞いても同じ答えだったんだからっ!」
ああ、なるほど、朝礼の件か。
全校生徒600名の前で、かわいい弟が不当に恥をかかされて、
持ち前の正義感と弟思いの気持ちから、
その日一日、この件で頭が一杯であったのである…。

憤懣やるかたない様子の姉が可笑しくて、
といって、爆笑するわけにもいかないほど真剣な様子に、
ニヤニヤしながら「あァ、そうなんだァ。間違ってはいなかったよね。」

弟の笑顔にホッしたものの、怒りは収まらない。
「あの百姓親爺!」
ひとしきり校長へ悪態をついた後、
弟の輝かしき正解、必要にして十分なパーフェクトな解答のあとに答えた女子生徒へと怒りの矛先が向かう。
「ダラダラとわけのわからないこと言って…」
い、い、いや、姉上、彼女に罪はありません。ククククク…


なぜこんなことを思い出したか?

『作文の感想としてなら、校長の受け取り方もありかな?』
と思っていたのだが、
今日、仕事をしていて、
『あ、校長の受け取り方は、やっぱいけないなァ』
と、実感として考えるに至ったのである。
作文を書いた彼女のために・・・

仕事の話に続く。



01/21|チーバカの系譜コメント(14)TOP↑
小学校4年の頃の話である。
顔全面に大ヤケドを負ったクラスメートがいた。
いつからなのかは知らないが、ある程度以前のことであろう、
包帯から露出している部分もかなり多く、
ケロイドがはっきり見えていた。

子供とは残酷なもので、
『人と違う』というただそれだけで平気で人を差別する。
チーバカ、
他のクラスメートと共に、その彼の顔をからかっていた。
囃し立てると向かってくるのが面白くて、からかう日々が続いた・・・

こちらは『軽い遊び』のつもりでも、
彼にとっては当然ながら『深刻な問題』であったろう。
ある日、彼は首謀者である私が学校に来るのを待ち構えていた。

今のいわゆるイジメとは違うかもしれない。
『正しい子供のあり方』を指導されないチーバカにとっては、
悪いことをしている意識は少ない。
そのせいか、『軽い遊び』以外のときは、彼とは普通に付き合っていたのである。

ヤケドした顔の表情からはわからないが、
雰囲気で、彼が思いつめているのがわかる。
「オハヨウ。・・・どうした?」
彼は私に一枚の写真を差し出す。
入学のときの記念写真。
写真屋さんで撮ったものである。
端正な顔立ちの利発そうな子供が写っている。
そう、ヤケド前の彼の写真である…。

この瞬間、全てのことを理解した。
いや、少なくともそう思った。
彼がどれほど悩んでいたか。
それを母親に打ち明けたであろうこと。
それに対して写真を渡した、優しく賢い母がいること。
そしてなによりも、彼が全く自分と同じ小学生であること…。
そう、なにも違いなどないということ。

そして自分は
顔面のヤケドというハンディーを負った彼をからかっていたということ…。

「これオマエ?」
「うん!」
「スゲ〜ッ!カッコいいじゃん!」本心ではあるが、必要以上に力が入る。
やはり表情からはわからないが、とても嬉しそうな顔をしているのがわかる。

チーバカ、その写真をもって、クラスの誰彼となく見せて回る。
もう彼をからかおうと思う不心得者がいなくなるように。
『今後もし彼をからかうことがあれば、そのときはオレが相手だ!』
おい、おい、張本人が何を言う・・・
そんな思いを込めて。

こうしてチーバカ、一つオトナになったのでありました。
12/09|チーバカの系譜コメント(14)TOP↑
その少女、
名は小石(こいし)。

秋風の中、ずぶ濡れになって、
泣き止まない赤ん坊を前に途方に暮れていた。

子守の途中、
井戸辺で一休みしているうち、赤ん坊諸共井戸へ。
幸い浅かったため、なんとか自力で這い上がったのであるが…。

帰る家は既にない。
親戚の家に子守として居させてもらっている身。
こんな不始末をして、どうしていいかわからない。
寒さに震えながらも、せめて赤ん坊が泣き止んでくれないかと あやしてはみるが、
徒労でしかなかった。

どれほどの時間が経っただろう。
たまたま通りがかった、やはり親戚の小母さんがその光景を見咎める。
「まあ!どうしたの、こんなに濡れて!」
彼女を自分の家に連れて帰り、
赤ん坊共々乾いた着物を着せてくれ、
寒さで震える小石に、金平糖を一粒食べさせる。


「あの金平糖はほんとうに美味しかった」
祖母は嬉しそうな顔に戻って私に言った。
外孫であるチーバカが唯一祖母から聞いた『思い出話し』である。

どこやらのブログで紹介されてい『コクーン』という映画のはなしを読んで、
ふとそんなことを思い出し、
祖母に優しくしてくれた、その『小母さん』にお礼が言いたくなったのである。

私が知る限り、祖母は常に控えめで、言いたいことがあってもじっと我慢する。
そんな性格である。
幼い頃からの身の処し方が浸み付いているのだと思う。
逆に考えると、彼女の子供の頃の生活がどんなものであったのか、
想像すると不憫でならない…。

そんな中でも、幼い彼女に優しくしてくれたこの『小母さん』。
思い出として孫に語れる話しにしてくれたこの方に、
彼女の孫として、80年以上も経った今ではありますが、

ありがとうございます。


能書きを言おう思っていたのでありますが、
ちょっと素直になり過ぎてしまったチーバカではありました。
11/19|チーバカの系譜コメント(23)TOP↑
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